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傑作映画館----------
● 月に囚われた男(原題:Moon)
監 督 :ダンカン・ジョーンズ
出 演 :サム・ロックウェル、ドミニク・マケリゴット、ケビン・スペイシー
ジャンル:ミステリー
2009年 イギリス

注)以下、ネタバレだらけです!
【あらすじ】
近未来、サムは月面基地で鉱物を採取している宇宙宇飛行士です。
もうすぐ3年の契約期限が来て地球で待つ妻と娘のもとに戻れるはずでした。
しかし、屋外で月面探査車で作業中、視界がぼやけ採掘機と衝突し大事故を起こして気を失ってしまいます。
サムは医務室のベッドの上で目を覚まします。
最初は思うように体を動かせませんでしたが、やがてまともになり勤務に就きます。
そして採掘機が一台止まっている事に気付き、修理の為にそこに行くと、採掘機とぶつかって止まっている探査車の中に人が気を失っていたのです。
月面基地には人間は一人しかいないはずで、新しいサムと古いサムは自分たちが同じ記憶を持つクローンである事を知ります。
その間にも古サムの体はどんどん具合が悪くなっていき、些細なことな事で出血しそれが止まらないのです。
古サムの体は崩壊し始めていました。
二人は、一人が鉱物運搬カプセルに忍び込んで地球に行き現状を訴えることにします。
最終的には、新サムが地球を目指し、古サムは地球から採掘機の修理の為にやって来る人間をごまかすため死体の役を引き受けます。
二人は探査車で故障した採掘機に向かいながら奥さんに初めて会ったときの話で盛り上がるのですが、やがて古サムは静かになるのでした。

最初は、お互いに自分がオリジナルでおまえがクローンだと思っていた…。
【感想】
怖い話ですね〜!
事故でその時のサムが基地に戻らなかったため、全てが崩れてきます。
鉱山会社が立てた妨害電波塔により、地球とはリアルタイムで通信は出来ません。
古サムは録画による奥さんの映像を見て、もうすぐ彼女や3歳の娘に会える事だけを励みにして3年間を勤めてきたのです。
もしやと思って会社のコンピュータを開こうとしますが、サムの知っているパスワードは受け付けられないのです。
その時、基地の管理やサムの話し相手をしてくれるコンピュータ・ガーディーが後ろからパスワードを入力してくれます。
サムが何故?というとガーディは「君を助けるのが私の仕事だ」答えるのです。
開いたファイルには様々なサムが勤務期間を終えて地球に帰るというカプセルに入り、焼却される様子が記録されていたのです。
一度だけ古サムは妨害電波塔の外に出て、自分の姿が写らないようにして家に電話をしますが、電話に出たのは彼の記憶では3歳の娘が今は15歳であり彼女が言うには「ママは亡くなった。」 そして彼女が電話の画面の外ヘ「パパ!」と呼び掛けたところでサムは電話を切ります。
自分の記憶が現実と違う、愛する妻はもう死んでいる、そして画面の外にもう一人の自分がいる事で自分がクローンである事を突きつけられたのです。
私は自分がクローンじゃないか?なんて疑ったことはありませんが、近い将来には他人事じゃなくなるんでしょうか。
自分がクローンだと気付いた時の衝撃はどんなでしょう。
と同時に、記憶まであるのならオリジナルと変わらない?とも言えます。
それだけにこんな寿命の短いクローンを創るのは許されない事ですね。
また、オリジナルのサムやその妻はどう思っていたのでしょう。
コンピュータ・ガーディーは新サムに、自分の記録を消すために自分を再起動してしてくれ、と言うのは、物凄く高度なことだと思います。
いろいろ考えさせられる映画でした。
監督はデビッド・ボウイの息子で、スタジオで33日で撮ったそうな!
関連作品:マッチスティック・メン … サム・ロックウェル 出演
2018.12. ................ 傑作映画館の目次ページへ